シャツ・メイキング・ストーリー



お客様とシャツの物語。
ぜひ、お楽しみください。
 
 


 シャツ・メイキング・ストーリー①
   = もうすぐ、ハワイ =
 
 もうすぐ、ハワイで挙式するとのお二人。その日のお店は、お二人だけのプライベート空間です。
 ご主人は、披露宴に麻のシャツでご招待者をお出迎えしたいとのイメージを持たれています。

 生地をご覧になり、初めはご予定のなかった奥様が、イタリア・LEGGIUNO社の花柄プリント生地に目を留められ(ご主人もお気に入り)、その生地でシャツを作られることになりました。そしてご主人は、その生地を別にご自分の選ばれたスカイブルーの綿麻生地と上手くコーディネートされました。いっぽう奥様は、シャツの袖口内側にご主人の生地を使われ、これで生地のエクスチェンジ成立です。
 出来映え、さわやかでしょ?
 


 
 
 


 シャツ・メイキング・ストーリー②
   = 海を越えた郷帰り =
 
この夏にワンピースを作っていただいたお客様。
 ご自分でしっかりとしたイメージを持たれている方で、冬用に新しいシャツをと生地を探しておられます。
 数百種類の生地の中からコーデュロイをはじめ何点か厚手の生地を取り出され、身体に当てて鏡を覗かれます。「これが一番いいかなぁ」と選ばれた一着がグレーとパープルブルーのブロックチェックの生地でした。とてもお似合いです。
 生地をお預かりして思い出したので、これはオーストリア・Hammerle製の生地ですよとお伝えしました。
 そうしたら、「ええっ?!」とお客様。
 「私、3月にオーストリアに行くんですよ。そのときに着ていくワンピースで、オーストリアの町並みをイメージして、そこに合うような色合いの生地を探してたんです」。
 何という偶然。鳥肌が立ってしまいました。
 この生地って結構多くのお客様に人気があって、必ずって言っていいほど候補に上がる生地だったんです。
 でも、これまで結局は選ばれることはなかったんです。
 生まれた郷へ旅をさせてくれる、このお客様を待っていたとしか思えません。
 


 
 
 


 シャツ・メイキング・ストーリー③
   = プレゼント =
 
オーダーシャツをプレゼントするというのは、それだけでも、とてもユニークなこと。
 
お店にパートナーを力尽くで(笑)お連れになり、電撃的にプレゼントされる方。
十分にご相談になったあとにご来店、お互いにデザインしプレゼントされるお二人。
ご自分の誕生日プレゼントに何が良いかと聞かれてシャツをと、ご主人とともにご来店いただいた方。
今度退職する方にお礼としてお渡ししたいとサービスチケットをお求めになられた方。
 
そして、年末に帰省するのに合わせ、お父様へプレゼントしたいとお一人でご来店いただいたお客様。
首周りとそでの長さ(裄丈)しかわからないとのこと。難しいご注文ですが、標準的なサイズ付をさせていただきました。ぴったりと仕上がり、お父様に喜んでいただけると良いのですが...。
 
人と人とのつながりが形となって現れる、プレゼント。 そのサイズには関係なく、中に入っているものは地球くらいの大きさなのかもしれません。
 


 
 
 


 シャツ・メイキング・ストーリー④
  = ジャケットとシャツ =
 
シャツとジャケットがバッチリと決まっている、沖縄からの女性のお客様。
「シャツがとても好きなんです」と言われます。
でも少し小柄な方だからでしょうか、合うシャツがなかなか見つからないとのこと。
 
お客様の着こなしのクールさに「シャツとジャケットを着られているのは、お仕事柄ですか」と問いかけました。
すると「いいえ、ジャケットなんか着たくはないのですが」とお客様。
続けて、「シャツが合っていないので、それを隠すために着ています」とのお答えです。
 
「そうなんですか...」
これまで、暑さを我慢されていたことがわかりました。
この自由シャツで、ジャケット不要の日々を始めていただけるかと思います。楽しんでくださいね。
 


 
 
 


 シャツ・メイキング・ストーリー⑥
 
  = 日本のものづくり =
 
 シンパシア/ブルーフラッグのシャツは、オーダー、プリメイドとも、すべて日本製です。
 いま多くの衣料品がアジアの国々からやってきます。とても安価で品質の良い製品がたくさんあります。
 でも、日本のものづくりには、それらの製品とは違った大きな特徴があると聞いたことがあります。
 それは、つくるものに魂を入れようとすることだとか。
 例えば、器、建物、食事、酒、伝統工芸品、仏像、乗り物、織物などなど...。
 確かに「器」など飲む食べるなのど機能を果たせれば十分なはずですが、それだけでは終わらせない「精神」があるような気がします。作り手の気持ちをググッと入れ込み、それが付加価値となって製品のどこかに現れている。
 限りないローテクに見えるシャツ作りの作業ですが、そこにも同じ精神が反映されていると感じます。
 私たちの工場は、働き手のすべてが地元の方々です。皆様が作られたシャツのどこかにも、何かが現れているかもしれません。
 シンパシア/ブルーフラッグのシャツは、100% Pure Made in Japanです。
 


 


 シャツ・メイキング・ストーリー⑤
  = 門 出 =
 
 ある女性のお客様から、弟様を紹介いただきました。男性ながら、小柄な方です。
 
 シンパシア/ブルーフラッグでは、ご要望に応じスーツも作って頂くことができるのですが、シャツとスーツを合わせてプレゼントしたいとのご要望です。今度、司法修習生になるので、その門出に贈りたいとのこと。
 弟は、私と違って優秀だったから...と、お姉様。これまで黙々と勉強を続ける弟様を支援してきたお姉様にとって、大きな喜びです。そんな姉弟の結びつきって、とても良いものです。
 さて、シャツとスーツができあがり、袖を通された弟様が晴れやかなお顔でフィッティング・ルームから出てこられました。良かった、ピッタリです。
 後日、弟様が来店され、関東での修習が始まるに当たり、一週間分のシャツと一着のスーツを、(ご本人の言葉をお借りすると)「思い切って」追加注文されました。そして、それもできあがり、「これで心置きなく修習に集中できます」とお言葉をいただきました。これからが大変です。お身体にお気を付けになってお過ごしください。
 


シャツ・メイキング・ストーリー⑦
  = キズ =
 
選んだ生地にちょっとしたキズがあることがあります。
生地を織るときなどに生じた僅かな織ムラやキズ。例えとてもいい生地であっても、です。
そんな生地はもう使えないのかというと 、そうとは限りません。
生地を裁断するときに、そこを避けたり、シャツになったときに外見上影響のないパーツにしたりします。
前回作った私のシャツにも、そんな所があるのを発見してしまいました。
でも不思議とイヤな感じはしていません。
作るのにいろいろ考えて苦労したからでしょうか。
その他の気に入っている部分が勝っているからでしょうか。
それとも、たった一枚っきりの布だったからでしょうか。
そんなキズを見つけても、このシャツの個性だと可愛く思えるほどです。
こんな気持ちの余裕を持てるなんて、オーダーだからなのかな...。
 


 


 シャツ・メイキング・ストーリー⑧
  = スパイス =
 
お客様がシャツを作りに来てくださいます。
身につけるもののほんの一つに過ぎないシャツ。
だとしても、お客様にとって何らかの意味があるのだろうと思います。
長い時間を供にするシャツは、生地もサイズも気持ち良く、感覚的にフィットすることに越すものはない。
お客様のスパイスとしてのシャツ。
むかし、ヨーローッパの国々がスパイスを求めて東方を目指したように、
たかがスパイスでも、それだけのパワーを引き出す切っ掛けになるかもしれません。
 
いらっしゃいませ。